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浦和地方裁判所 昭和62年(ワ)1365号 判決

原告

飯塚一也

飯塚早苗

飯塚千百枝

右三名訴訟代理人弁護士

山田裕祥

右同

望月浩一郎

被告

埼玉県

右代表者知事

畑和

右訴訟代理人弁護士

鍛治勉

右訴訟復代理人弁護士

梅園秀之

主文

一  被告は、原告飯塚一也に対し金四四九九万三八七五円、原告飯塚早苗及び原告飯塚千百枝に対しそれぞれ金一三二万円並びに右各金員に対する昭和六〇年七月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを五分し、その三を原告らの、その余を被告の各負担とする。

四  この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告飯塚一也に対し金二億円、原告飯塚早苗及び原告飯塚千百枝に対しそれぞれ金四五〇万円並びに右各金員に対する昭和六〇年七月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  第1項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者等

(一) 原告飯塚一也(以下「原告一也」という。)は、後記事故が発生した昭和六〇年七月当時、埼玉県立本庄高等学校(以下「本庄高校」という。)二学年に在籍する一六歳の男子であったものである。

原告飯塚早苗(以下「原告早苗」という。)、同飯塚千百枝(以下「原告千百枝」という。)は、原告一也の父、母である。

(二) 被告は、本庄高校を設置してこれを管理する地方公共団体である。

後記事故が発生した昭和六〇年七月当時、同校の校長は訴外国谷敏郎(以下「国谷校長」という。)、同校体操部の顧問は訴外大塚俊雄教諭(以下「大塚教諭」という。)であった。

2  事故に至る経緯及び事故の発生

(一) 原告一也は、本庄高校の一年生であった昭和五九年一〇月、教育課程外の教育活動(部活動)の一つである体操部に入部した。

(二) 原告一也は、同年一二月頃から、空中感覚を養い、床運動及び跳馬の技を習得する目的で、先輩の見よう見まねで、トランポリンや、ミニトランポリン(直径一メートル、キャンパスシートの部分は傾斜しており、高い部分で六〇センチメートル、低い部分で三〇センチメートルの高さがある。)を用いて、前方宙返りの練習をするようになった。

そして、順次、前方一回宙返り、ひねりを加えた前方一回宙返りの練習を試みて成功し、昭和六〇年一月頃からは前方一回四分の一宙返りの練習を試みて成功した。

(三) 原告一也は、同年七月一九日もミニトランポリンを用いて練習し、その際、一年先輩の訴外嶋田豊広(以下「嶋田」という)に、空中において膝を抱え込み、空中で前方に二回転し、着地に至るという体操技(以下「前方抱え込み二回宙返り」という。)のやり方を尋ねたうえで、その練習を試みて成功した。

(四) 原告一也は、翌二〇日も一学期の終業式終了後の午前一一時頃から、本庄高校体育館において、ミニトランポリンを用いて、練習を開始した。

同人は、前方抱え込み二回宙返りの練習をしたのち、午前一一時一五分頃、伸身の姿勢で着地しようと考え、空中において膝を抱え込んだ姿勢で一回転し、二回転目の途中から膝と腰を伸ばそうとしたところ、膝と腰を伸ばすタイミングが早すぎたために、回転力を失い、二回転目の途中で、着地場所に敷いてあったエバーマットに頭から落下し、自己の頭部をエバーマットに激突させ、第四、五頸椎脱臼骨折、頸髄損傷の傷害を負った(以下「本件事故」という。)。

3  被告の責任

(一) 在学契約及び被告の安全保護義務

原告一也と被告との間には、本庄高校に入学する際、教育基本法、学校教育法に沿った教育を原告一也が受けることを目的とする在学契約が、また、原告早苗及び同千百枝と被告との間には、第三者たる原告一也のために、同人に学校教育を受けさせることを目的とする在学契約がそれぞれ締結された。よって、被告には、右在学契約の付随義務として、原告一也の学校教育においては、同人の生命、身体に危険が生じないよう万全の物的、人的設備及び環境を整備し、同人の安全を保護すべき義務がある。

(二) 大塚教諭の安全保護義務違反

(1) 大塚教諭は、被告の履行補助者として、あるいは学校教育に携わる公務員として、学校教育における体操指導の際には体操の練習が常に危険を伴うことに鑑み、事故が発生しないよう、常に生徒の動静を把握し監視を怠ることなく指導すべき義務、具体的には次の各義務を負っていた。

ア 指導責任者として体操競技及びその練習の指導について研鑽し、自分自身で直接指導するか、又は、自分の代わりの者に指導させるときには、十分な指導能力を有した適切な指導者を選任すべき義務

イ 練習に立ち会うなどして常に生徒の技量を十分把握する義務

ウ 生徒各自の技量に照らし、生徒が課題とすべき体操の種目、技を指導し、安全を確保するための練習方法、練習プログラムを作成、指導すべき義務

エ 練習に立ち会い、右指導に基づき生徒が安全な方法で課題とすべき練習を行っているか否かを把握すべき義務

オ 生徒が安全な方法で練習をしていない場合は、安全を確保するために必要な処置をとるべき義務

カ 生徒が既に習得した技からより難度の高い技の習得を試みるときには、その難度の高い技を試みる技量があるか否かを判断する義務

キ 生徒がその難度の高い技を試みる技量に欠けると判断した場合には、同人の安全を確保するために、右技量を備えるまでは、右難度の高い技を試みることを禁止すべき義務

ク 生徒がその難度の高い技を試みる技量を有すると判断した場合は、同人がその技に習熟するまでの期間は特に危険が高いことに鑑み、安全を確保するために、練習に必ず立ち会い、予想される危険を回避するための練習方法を指示し、安全を確保するための練習用具など物的設備及び練習に補助者を配置するなどの人的設備を備えるべき義務

(2) しかしながら、大塚教諭は、本庄高校体操部が当時弱体化しており、県大会などにおいて上位入賞ができていないことから、指導意欲を喪失し、体操部の顧問とは名ばかりで、練習に立ち会うことも稀であり、練習プログラムを立てることも、理論的、実践的指導をすることも、各生徒の技量を把握することも、連絡のシステム作りも、技の学習を指導することも全くなく、右アないしクの各義務を全く怠ったため、本件事故を発生させた。

(三) 国谷校長の注意義務違反

国谷校長は、大塚教諭を指導監督すべき立場にあったにもかかわらず、これを怠り、本件事故を発生させた。

(四) 被告の教育委員会も、校長及び教諭を一般的に指導監督すべき立場にあるにもかかわらず、これを怠り、本件事故を発生させた。

(五) よって、被告には、在学契約に付随する安全保護義務の不履行、または国家賠償法一条一項に基づき、原告らの損害を賠償する責任がある。

4  損害

(一) 原告一也の損害

(1) 逸失利益

ア 原告一也の障害

事故発生日以来、下肢は全く動かすことができない。

上肢は、腕を肩より高く挙げることはできない。肘は、負荷が小さいときは曲げることができるが、伸ばす力は正常人の一〇分の一程度しかない。手首については、掌を上に向けることが出来ない。手首は左右とも全く動かすことができない。腹筋・背筋は全く利かない。

他人の手を借りることなく、ベッドにおいて寝返りを打つこと、ベッドで起き上がること、ベッドなど背部、左右に寄り掛かる場所がないところで座り続けること、文字を書くこと、衣服を着脱すること、車椅子に乗ることのいずれも全くできない。車椅子にて平坦なところは移動できるが、前記のとおり腕の機能が低下しているため、僅かでも高低差のある場所、傾斜のある場所を移動することはできない。

寝ているときは、床擦れを防止するため約二時間ごとに他人の手により寝返りを打たなければならず、食事についてもコップや箸など指を使う物が使用できないのはもちろん、手に固定する装置の付いた特別なフォークやスプーンを他人の介添えで付けてもらい、ようやく食事ができるものである。

知覚障害は、肩胛骨より下部の全般にあり、温度感覚、痛覚を失っている。体温の自律調整機能もないし、皮膚呼吸もできない。排便や排尿も意のままにならず、排便については、便秘がちになるため下剤を飲んで浣腸を用い、ゴム袋を着用して対処しなければならない。排尿について、腹部に穴を開け、ここに管を入れて集尿袋に常時尿を導尿している。

イ 逸失利益の算定

原告一也は、本件事故当時、健康な男子高校生であって大学進学を予定しており二二歳から六七歳まで就労可能であった者である。

しかるに、原告一也は、右アのように、労働能力を一〇〇パーセント喪失した。

従って、原告一也の逸失利益は、賃金センサス平成元年度の産業計、企業規模計、男子労働者の旧大・新大卒の基準により算出するべきである。これによると原告一也の年収は五八〇万八三〇〇円となる。

ここから中間利息を新ホフマン方式(係数は19.8500)によって控除すると、原告一也の逸失利益は、一億一五二九万四七五五円となる。

(2) 付添看護費用

原告一也の障害は、右(1)アのとおりであるから、生涯、終日の付添看護を必要とし、しかも、付き添う家族は職業付添看護婦と同等の労力を費やさなければならない。このような場合、家族付添費として日額一万円は認められるべきである。

平成元年簡易生命表によると原告一也は本件事故発生時より六一年間生存すると推定され、その間の付添看護が必要である。

この間の付添看護費用から中間利息を新ホフマン方式(係数は27.3547)によって控除すると、原告一也の付添看護費用は、一億〇〇七四万六二〇五円となる。

(3) 療養雑費

原告一也の障害は、右(1)アのとおりであるから、入院中はもちろん、退院して自宅で療養中も、排便、排尿等日常生活のために紙おむつなどの消耗品、雑貨品等を使用しなければならないなど、少なくとも一日一〇〇〇円の療養雑費が必要である。

原告一也は余命を六一年として、この間の療養雑費から中間利息を新ホフマン方式(係数は27.3547)によって控除すると、原告一也の療養雑費は、九八九万三二一五円となる。

(4) 療養のための改造費用等特別出費

原告一也が、退院後家族とともに生活するためには、同人が生活できるように建物の入口、廊下、便所、浴室、居室など広範な部分の改造が不可欠である。原告一也が生活できるように原告宅を全面的に改築するための費用は一八一六万二八三七円であり、このうち五〇〇万円は本件事故と相当因果関係のある損害である。

(5) 慰謝料

原告一也の後遺症の程度がまことに悲惨であること、これが一生継続し日々苦しまなければならないこと、健康体であったのに一六歳という若年で事故にあい、勉学も途中で放棄せざるを得ず、夢多き青春時代も本件事故によって奪われてしまったこと等の諸般の事情を考えると、原告一也には死亡した場合よりも多く慰謝されるべきであって、その額は少なくとも二五〇〇万円を下らないものとみるべきである。

(6) 治療費

原告一也が負担した治療費は四二七万〇二八〇円である。

(7) 弁護士費用

弁護士費用二〇〇〇万円は本件事故と相当因果関係のある損害である。

(8) 合計

右(1)ないし(7)の損害額の合計は、二億八〇三八万五〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨て)となる。

(二) 原告早苗、同千百枝の損害

(1) 慰謝料

原告早苗、同千百枝は、原告一也が本件事故により右(一)(1)アのような重大な障害を負ったため、原告一也とともに日々苦しみ、死亡した場合に勝るとも劣らない精神的損害を受けている。また、大塚教諭は本件事故直後、自身の保身のみを図る言動をした。この態度も慰謝料を算定する上で重大な要素である。

右事情の下では、原告早苗、同千百枝の慰謝料は少なくとも各自につき四〇〇万円を下らないものである。

(2) 弁護士費用

弁護士費用各自五〇万円は本件事故と相当因果関係のある損害である。

(3) 合計

右(1)及び(2)の損害額の合計は、各自四五〇万円となる。

5  まとめ

よって、原告らは被告に対し、債務不履行又は国家賠償法一条一項に基づき、原告一也は二億八〇三八万五〇〇〇円のうち二億円、原告早苗、同千百枝は各自四五〇万円並びに右各金員に対する本件事故発生の日の翌日である昭和六〇年七月二一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否及び反論

1  請求原因1(当事者等)の事実は認める。

2(一)  請求原因2(事故に至る経緯及び事故の発生)(一)の事実は認める。

(二)  同(二)のうち、ミニトランポリンの形状及び原告一也がトランポリンやミニトランポリンを用いて前方一回宙返り、ひねりを加えた前方一回宙返り、前方一回四分の一宙返りの練習をしていたことは認め、成功したことは否認し、その余は不知。

(三)  同(三)のうち、原告一也が、昭和六〇年七月一九日にミニトランポリンを用いて前方抱え込み二回宙返りの練習をしたことは認め、その余は不知。

(四)  同(四)のうち、原告一也が同月二〇日も一学期の終業式終了後に本庄高校体育館においてミニトランポリンを用いて練習をしたこと、同人が着地場所に敷いてあったエバーマットに頭から落下し、第四、五頸椎脱臼骨折、頸髄損傷の傷害を負ったことは認め、その余は不知。なお、本件事故は部活動としての練習が正規に始まる前に発生したものである。

3(一)  請求原因3(一)(被告の安全保護義務)は否認する。

(二)  同(二)(大塚教諭の安全保護義務違反)は否認する。大塚教諭は校務等で差し支えがない限り練習に立ち会って指導に当たるだけでなく、訴外上原正和講師(以下「上原講師」という。)をコーチとして常時練習に立ち会わせて指導させていた。また、大塚教諭は練習計画を立て、上原講師と協議のうえ、生徒の実力に応じ個々の技の指導をしていた。自主的な部活動のできる年齢に達している高校生の部活動においては、常に校務等をかかえている顧問が常時個々の生徒の行動を見て、指示、注意しながら教えなければならない義務までは負うものではないと言うべきである。

また、原告一也は、本件事故の発生の日の二、三日前と本件事故発生の日の前日にも前方一回四分の三宙返り(前方宙返り一回半背打ち)あるいは前方二回宙返りの練習をしたのであるが、大塚教諭は、いずれの日も、そのような練習はしないように注意した。それにもかかわらず同人が前方抱え込み二回宙返りの練習をすることを大塚教諭は予測することはできなかっものである。

(三)  同(三)(国谷校長の注意義務違反)のうち、国谷校長が大塚教諭を指導監督すべき立場にあったことは認め、その余は否認する。

(四)  同(四)(教育委員会の注意義務違反)のうち、被告の教育委員会が校長及び教諭を一般的に指導監督すべき立場にあることは認め、その余は否認する。

4(一)  請求原因4(一)(原告一也の損害)のうち、(1)ア(原告一也の障害)の事実は不知、その余は否認する。

(二)  同(二)(原告早苗、同千百枝の損害)は否認する。

三  抗弁

1  過失相殺

前方抱え込み二回宙返りは極めて難度の高い技であり、原告一也の体操の実力から見て、ミニトランポリンを使ったとはいえ、このような技を試みることは到底無理であった。そして、原告一也自身も、高校生という年齢、部活動の体操部員として体操の各種目を毎日練習していたこと、同人より実力の優る他の先輩体操部員も試みたことのなかった技であったこと等から、前方抱え込み二回宙返りを試みることが、いかに危険なものであるかを承知し理解していたものである。

従って、本件事故は原告一也の重大な過失によって発生したものであり、過失相殺がなされるべきである。

2  損益相殺

原告一也は、日本体育・学校健康センターから次の金員の支払いを受けた。

(一) 見舞金 一八〇〇万〇〇〇〇円

(二) 治療費 七六万三四七二円

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1(過失相殺)は否認する。原告一也は、大塚教諭らから、技の難度等についての指導を受けておらず、前方抱え込み二回宙返りが危険な技であるとは理解できなかったものである。

2  抗弁2(損益相殺)の事実は認める。しかし、これらの金員は原告一也が日本体育・学校健康センターに対し掛金を支払ったことの結果として支払われたのであるから、損益相殺の対象とはならない。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1(当事者等)の事実は、当事者間に争いがない。

二請求原因2(事故に至る経緯及び事故の発生)について

1  同(一)の事実は、当事者間に争いがない。

2(一)  同(二)のうち、ミニトランポリンの形状及び原告一也がトランポリンやミニトランポリンを用いて前方一回宙返り、ひねりを加えた前方一回宙返り、前方一回四分の一宙返りの練習をしていたことは、当事者間に争いがない。

(二)  原告一也本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告一也がミニトランポリン等を用いた前方宙返りの練習をするようになったのは、昭和五九年一二月頃からであること、その目的は、空中感覚を養い、床運動及び跳馬の技を習得することにあったこと、先輩の見よう見まねで練習したこと、前方一回四分の一宙返りの練習を試みたのは昭和六〇年一月頃からであること及び各練習については、成功していたと評価できるかどうかはともかく、一応の形はできていたことが認められる。

3(一)  同(三)のうち、原告一也が、昭和六〇年七月一九日にミニトランポリンを用いて前方抱え込み二回宙返りの練習をしたことは、当事者間に争いがない。

(二)  原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告一也は、今まで以上に回転力を身につけるためには、前方二回宙返りの練習をするのが適切であると考え、一年先輩の嶋田にそのやり方を聞いたところ、同人から「抱え込んじゃえば回っちゃうよ。」というアドバイスを受けたため、そのとおり練習を試みたこと、最初は背中から落ちていたが、一〇回前後練習した結果、ほぼ二回転して尻もちをつく程度にまで達したことが認められる。

4(一)  同(四)のうち、原告一也が昭和六〇年七月二〇日も一学期の終業式終了後に本庄高校体育館においてミニトランポリンを用いて練習をしたこと、同人が着地場所に敷いてあったエバーマットに頭から落下し、第四、五頸椎脱臼骨折、頸髄損傷の傷害を負ったことは当事者間に争いがない。

(二)  〈書証番号略〉、吉田乃史証言及び原告一也本人尋問の結果によれば、次の事実が認められる。

(1) 同年七月一九日の練習終了後、翌二〇日は午前一一時から練習をすると部員間で決められ、このことは大塚教諭も知っていた。

(2) そこで、原告一也は、同日午前一一時より少し前に、同じ部員である訴外吉田乃史(以下「吉田」という。)とともに体育館に行った。他の部員はまだ来ていなかったので、両名は補助用の薄いマットを敷いて、その上で柔軟体操等の準備運動(アップ)をした。

(3) 一一時を過ぎても他の部員が殆ど来ないので、原告一也と吉田は、ミニトランポリンを用意して、後から来た嶋田と一緒に宙返りの練習を開始した。

(4) その際、原告一也は、前日の練習に欠席した吉田に対し、前日自分が前方抱え込み二回宙返りに成功したと告げて一緒に練習をするように誘い、嶋田も含めて三人で前方抱え込み二回宙返りを試みた。その結果、三人とも尻もちをつく程度には至ったが、嶋田と吉田はすぐに練習をやめてしまった。

(5) 原告一也は、更に前方抱え込み二回宙返りの練習を続けたが、その際、伸身の姿勢で着地しようと考え、空中において膝を抱え込んだ姿勢で一回転し、二回転目の途中から膝と腰を伸ばそうとしたところ、膝と腰を伸ばすタイミングが早すぎたために、回転力を失い、二回転目の途中で、着地場所に敷いてあったエバーマットに頭から落下した。

(三)  なお、被告は、本件事故は部活動としての練習が正規に始まる前に発生したものであると主張し、大塚教諭も、体をほぐし整列をして号令を掛けてから練習を開始するものであるところ、本件事故発生当時はそのような状態にはなっていなかった旨証言する。

しかし、本件事故が発生したのは練習開始予定時間後の午前一一時一五分頃であること(〈書証番号略〉)、本件事故発生当時は必ずしも大塚証言のようには練習は開始されず、部員が三々五々集まってきて随時練習を開始することが多かったこと(原告一也本人尋問の結果)、ミニトランポリンを使っての練習は、準備運動の一つとして、あるいはローテーションの合間に行っていたものであること(吉田証言、原告一也本人尋問の結果)、準備運動も練習の一部であると考えるべきであることから、本件事故は部活動としての練習中に発生したものであると認めるのが相当である。

三請求原因3(被告の責任)について

1  同(一)(在学契約及び被告の安全保護義務)

(一)  原告一也と被告の関係について

生徒が県立高校に在学する場合の在学関係は、生徒と当該高校の設置者である県との間の契約に基づいて成立するものであり、その法律関係は、生徒が私立学校に在学する場合の契約関係と基本的には異ならないと解するのが相当である。

そして、高校設置者である県は、当該在学契約から生ずる義務として、学校教育の際に生じうる危険から生徒の生命、身体等を保護するために必要な措置をとるべき義務を負っているものと解される。

(二)  原告早苗、同千百枝と被告との関係について

高校における在学契約の当事者は、生徒と学校設置者であって、生徒の両親は親権者として同意を与える立場にあるにすぎず、直接に契約の当事者となるものではないと解するのが相当である。

従って、原告早苗、同千百枝の請求のうち被告の債務不履行を理由とする部分は、その余の点について検討するまでもなく理由がない。

2  同(二)(大塚教諭の安全保護義務違反)

(一)  〈書証番号略〉、吉田証言、原告一也本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば、本件事故が発生した昭和六〇年七月当時の本庄高校体操部の活動状況及び大塚教諭の指導状況は、次のようなものであったと認められる。

(1) 競技会で優秀な成績を挙げられる部員が同校を卒業し、残った部員の多くが技術的にも知識の点でも未熟な者であったため、大塚教諭の指導意欲は低下していた。また、部員の中にも練習意欲が十分でなく、練習を休む者が多い状況にあった。

(2) そのため、大塚教諭は練習計画表(〈書証番号略〉)を作成しただけで、直接の指導は上原講師に委ね、自らは練習に立ち会わないか、立ち会っても最初から最後まで立ち会って指導するのではなく顔を出してすぐ引っ込む程度のことが多く、また、上原講師を通じて安全教育を施したり、各部員の能力に応じて個別に練習のスケジュールを立てさせたりすることもなかった。

(3) 練習計画表は、当初は、そのとおり実行されたが、やがて無視されるに至り、一貫性のある計画を欠いた状態で練習している状況にあった。

(4) 上原講師は、練習にはほぼ毎回参加していたものの、昭和六〇年三月に大学を卒業し同年四月に本庄高校の非常勤講師として着任したばかりであって、部員を個別に指導することはあったものの、自らが練習をしていることも多く、部員全体の練習状況や能力を把握し、それに見合った安全指導等を計画的に行う能力が十分に身についているとは言えない状況であった。

そのため、原告一也ら二年生部員は、主として先輩部員や同校の卒業生から技を習っていた。

(5) このような状況の中で、原告一也は、空中感覚を養い、回転力を身につけるためには、ミニトランポリンで前方二回宙返りの練習をするのが良いと考え、体操を始めて一年に満たない当時の同人の技術からすれば、右の前方二回宙返りの技は非常に危険なものであることに深い思いを致さず、先輩部員に方法を聞いたのみで大塚教諭や上原講師に相談することなくその練習をしたため、本件事故を起こすに至った。

(二)  右(一)に対し、大塚教諭は、校務等で差し支えがない限り練習に立ち会い、本件事故発生の日の二、三日前と本件事故発生の日の前日に、原告一也が前方一回四分の三宙返り(前方宙返り一回半背打ち)あるいは前方二回宙返りの練習をしていたので、そのような練習をしてはならないと注意した旨証言し、上原講師も三日前の七月一七日と前日の同月一九日に大塚教諭が注意をしているのを見て、自らも注意をした旨証言する。しかし、右両名の証言は、次の諸点と対比して考えるとたやすく信用することができない。

(1) 大塚教諭と上原講師は、いずれも一九日には原告一也と一緒に吉田も前方二回宙返りの練習をしていた旨証言するが、吉田は一九日には練習に参加していたとは認め難いこと(〈書証番号略〉、吉田証言)。

(2) 上原講師は、一七日は、一年生部員に対して平行棒の指導をしている最中に、大塚教諭が注意をしていた旨証言するが、当日に平行棒の練習があったとは認め難いこと(〈書証番号略〉)。

(3) 上原講師は、大塚教諭が大声で注意をしたので振り向いたところ、原告一也らが前方二回宙返りの練習をしていた旨証言するが、大塚教諭が前方二回宙返りの練習を見てこれを注意をしたのであれば、原告一也らが注意を無視して練習を続けないかぎりは、大塚教諭の声で振り向いた上原講師が原告一也らの前方二回宙返りの状況を目撃することは時間的関係に照らして、いかにも不自然であり、また原告一也らが大塚教諭の注意を無視して練習を続けたという証拠は全くないこと。

(4) 原告一也が、繰り返し注意されたにもかかわらず直ぐに同じことをするとは通常考えられず、同人がそのような異常な行動をとる生徒であったとは、本件全証拠によっても認め難いこと。

他に右(一)の認定を覆し、大塚教諭が頻繁に練習に立ち会うとともに、二日にわたって原告一也に対し前方二回宙返りの練習をしてはならない旨注意し、上原講師も注意をしたことを認めるに足りる証拠はない。

(三) 以上の事実からすると、大塚教諭は、①体操部が各種運動部の中でも最も事故発生の危険性が高い部活動の一つである反面、部員は高度な技にも安易に挑戦しようとする冒険心や競争心に富む年齢であり、殊に、本件事故発生当時の本庄高校体操部員には技術的にも知識の点でも未熟な者が多かったのであるから、危険な技であることに思いを致さずに前方二回宙返りあるいはこれに類する難技の練習を試みて失敗する者の出現する危険性があること、②コーチ役である上原講師は着任して間もないので指導者としての能力が必ずしも十分ではないことの二点を容易に知り得る立場にあったのである。

そうすると、大塚教諭としては、常時自ら練習に立ち会わなければならないものではないにしても、日頃、生徒に対しては、練習の際の基本的な安全教育を周知徹底しておくことはもとよりのこと、自ら立ち会うことが出来ない場合には上原講師の指示に従って練習し、個々の生徒の力量に照らして難技に属するもの、殊に新しい技の練習を試みようとする場合には同教諭又は上原講師に相談するなどして、生徒が安易に新しい難技の練習をしないよう指導するとともに、上原講師に対しては、生徒全体の練習状況に十分注意し、危険な練習を行わせてはならない旨指導するべきであったにもかかわらず、これらを怠ったものと言うべきである。

そして、この観点に立って前記(一)に認定の事実を見ると、本件事故は、大塚教諭が、在学契約に基づく被告の義務の履行補助者として、あるいは学校教育に携わる公務員として負担するべき前記義務を怠ったために発生したものであると認められる。

3  同(三)(国谷校長の注意義務違反)

国谷校長が大塚教諭を指導監督すべき立場にあったことは、当事者間に争いがない。しかし、国谷校長が具体的にどのような指導等をすべきであったかについての原告らの主張、立証はないから同人の過失を認めることはできない。

4  同(四)(教育委員会の注意義務違反)

被告の教育委員会が校長及び教諭を一般的に指導監督すべき立場にあることは、当事者間に争いがない。しかし、右は公法上の義務に止まり、私法上の債務不履行責任あるいは不法行為責任を検討する上で、教育委員会の各委員の個々につきその過失等を考えることはできても、教育委員会自体の過失等を問擬することはできず、原告らのこの点の主張は失当である。仮に、原告らの主張を右委員個々についての注意義務違反の主張と善解できるとしても、個々の委員が具体的にどのような指導等をすべきであったかについて主張、立証がないから、右主張も採用できない。

四請求原因4(損害)について

1  同(一)(原告一也の損害)

(一)  逸失利益

(1) 〈書証番号略〉、原告一也、同千百枝及び同早苗の各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、同(1)ア(原告一也の障害)の事実が認められ、これによれば、原告一也は、本件事故により、将来にわたって労働能力を一〇〇パーセント喪失したと認められる。なお、原告一也本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、原告一也は、本件事故発生以前の中学二年生の頃に慢性腎炎症に罹患し、約一年半入院生活を送り、本庄高校入学後も激しい運動をすることを医師から禁じられていたことが認められるが、このことが本件事故の発生を除外してなお同人の一八歳以降の労働能力にまで影響を及ぼすと認められる格別の証拠はないから、この点は、損害額の算定に当たり、考慮しない。

(2) 原告一也が、本件事故発生当時、大学進学を希望し、客観的にもそれが可能であったことを認めるに足りる証拠はない。

また、逸失利益算定の基準となる賃金センサスは、本件事故が発生した昭和六〇年のそれによるのが相当であり、中間利息はライプニッツ方式によって控除することとする。

(3) 昭和六〇年の賃金センサス(産業計・企業規模計・学歴計・男子労働者・全年齢平均)によれば、原告一也の逸失利益算定の基礎となる年収は、四二二万八一〇〇円である。

そして、原告一也は、本件事故発生当時一六歳であり、一八歳から六七歳までの四九年間就労可能であったが、中間利息をライプニッツ方式により控除すると(ライプニッツ係数は16.48)、その逸失利益は、六九六七万九〇八八円となる。

(計算式)

422万8100×16.48

(二)  付添看護費用

原告一也、同千百枝及び同早苗の各本人尋問の結果によれば、右(一)(1)に判示した原告一也の障害により、同人は生涯、家族等による終日の付添看護を必要とし、しかも、その介護には、多大な労力が必要であると認められる。右による損害として、平均余命に達するまで、一日につき五〇〇〇円を認めるのが相当である。

そして、平成元年簡易生命表によると原告一也は本件事故発生時より六一年間生存すると推定される。

この間の付添看護費用から中間利息をライプニッツ方式によって控除すると(係数は27.60)、原告一也の付添看護費用は、五〇三七万円となる。

(計算式)

5000×365×27.60

(三)  療養雑費

原告一也、同千百枝の各本人尋問の結果によれば、右(一)(1)に判示した障害により、原告一也は生涯排便、排尿等日常生活のために紙おむつなどの消耗品、雑貨品等を使用しなければならないと認められる。右障害による損害として、平均余命に達するまで、一日につき一〇〇〇円を認めるのが相当である。

そして、原告一也の本件事故発生時からの余命を六一年として、この間の療養雑費から中間利息をライプニッツ方式によって控除すると(係数は27.60)、原告一也の療養雑費は、一〇〇七万四〇〇〇円となる。

(計算式)

1000×365×27.60

(四)  療養のための改造費用等特別出費

〈書証番号略〉及び原告早苗本人尋問の結果によれば、原告一也が退院後家族とともに生活できるようにするために原告宅を全面的に改築し、そのための費用として二〇二九万五七六〇円、追加的に購入した器具等の費用として二四七万三〇〇〇円と八三万三五五〇円を支出したことが認められる。原告一也の障害の程度に照らし、右のうち五〇〇万円を本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが妥当である。

(五)  慰謝料

原告一也が一六歳で本件事故にあい、その障害の程度がまことに悲惨であって、これが生涯継続するものであること等後記過失相殺に関するものを除き、本件諸般の事情を考慮すると、原告一也の精神的苦痛は、死にも比肩すべきものと認められ、その慰謝料は一〇〇〇万円が相当である。

(六)  治療費

〈書証番号略〉及び原告早苗本人尋問の結果によれば、原告一也の治療費は、原告ら主張の四二七万〇二八〇円を下らないことが認められる。

(七)  弁護士費用

事案の性質、難易、損害の程度等の事情を総合すれば、本件事故と相当因果関係の認められる弁護士費用は一〇〇〇万円が妥当である。

(八)  合計

右(一)ないし(七)の損害額の合計は、一億五九三九万三三六八円となる。

2  同(二)(原告早苗、同千百枝の損害)

(一)  慰謝料

原告早苗、同千百枝の各本人尋問の結果によれば、同人らは、原告一也が既に判示した重大な障害を受けたことにより筆舌に尽くし難い多大の精神的苦痛を受けていることが認められ、後記過失相殺に関するものを除き、本件諸般の事情を考慮すれば、その慰謝料は各自につき三〇〇万円が相当である。なお、原告らは大塚教諭が本件事故直後、自己の保身のみを図る言動をしたと主張するが、この事実が認められるとしても、このことをもって慰謝料を特に増額すべき事情とは認めがたい。

(二)  弁護士費用

事案の性質、損害の程度等の事情を総合すれば、本件事故と相当因果関係の認められる弁護士費用は各自につき三〇万円が妥当である。

(三)  合計

右(一)及び(二)の損害額の合計は、各自につき三三〇万円となる。

五抗弁1(過失相殺)について

1 大塚教諭が、学校教育に携わる公務員として、体操部の指導教育上課せられた義務を懈怠していた点のあったことは、既に三において詳細に判示したところである。そして、原告一也本人尋問の結果によれば、同人は前方抱え込み二回宙返りが極めて危険な技であるとまでは考えていなかったことが認められる。

2  しかし、本件事故の発生については次の諸点を考えなければならない。

(一)  まず、本件事故は、部活動中に発生したものであり、右部活動は、特別教育活動として学校教育活動の一環ではあるものの、正課授業等と異なり、生徒の自発的・自主的活動を前提とする教育課程外の活動である。

(二)  原告一也が事故にあった一六歳という年齢は義務教育も終了し、成人と全く同等とまでは言えないにしても、それに近い判断能力を身につけている年齢であるから、顧問の教諭から明確な指導がなくても、自分で危険性を判断して危険から身を守ることができるはずであり、その責任も負っているものと言わなければならない。

(三)  そして、〈書証番号略〉、大塚証言及び原告一也本人尋問の結果によれば、前方抱え込み二回宙返りは極めて難度の高い危険な技であり、ミニトランポリンを使うにしても、体操部に入部してから一年に満たず技術的に未熟な原告一也が試みることは極めて危険であったこと、また空中感覚を養い、床運動等の技を身に付けるためであるにしても、同人が前方抱え込み二回宙返りの練習をする必要もなかったことが認められる。

(四)  更に、本件事故発生当時の本庄高校の体操部においては、上原講師がほぼ毎回練習に立ち会っていたのであるから、原告一也においても自ら積極的に同講師にアドバイスを求めるなどし、あるいは体操に関する書物を読んで研究するなどの方法により、前方抱え込み二回宙返りがいかに危険な技であるかを理解し、回転力を身につけるためであるならば、このような危険な技以外により適切な方法を検討することは容易にできたはずである。

3  これらの諸点を総合考慮すれば、原告一也は、前方抱え込み二回宙返りを試みることが極めて危険であり、これを十分な指導等なしに実行したときは重大な結果を招来する危険のありうることを予見することができたのであり、従ってまた、その結果の発生を回避することが可能であったのに、これを怠り、安易に危険な技に挑戦した結果本件事故が発生したものと言わざるをえない。なるほど本件事故発生については前記のとおり大塚教諭に過失は認められるものの、むしろその主要な原因は、原告一也自身にあると言わなければならない。

以上の諸事情に照らせば、原告らの損害から六割を過失相殺するのが相当である。

4  右過失相殺により、原告一也の損害は六三七五万七三四七円に、原告早苗及び同千百枝の損害は各自一三二万円になる。

六抗弁2(損益相殺)について

1  原告一也が日本体育・学校健康センターから見舞金として一八〇〇万円、治療費として七六万三四七二円、合計一八七六万三四七二円の支払いを受けたことは、当事者間に争いがない。

2  日本体育・学校健康センター法四四条一項、二項(〈書証番号略〉)に照らし、同センターからの給付は、原告一也の障害に対する損害填補の性格を有するものであると解される。従って、原告一也が同センターに対し掛金を支払っていたにしても、学校設置者は同センターから支払われた価額の限度において損害賠償の責を免れるから、右1の金額については、原告一也の損害から控除しなければならない。

3  右損益相殺により、原告一也の損害は四四九九万三八七五円になる。

七結論

以上によれば、原告らの本訴請求は被告に対し、原告一也が四四九九万三八七五円、原告早苗及び同千百枝が各自一三二万円並びに右各金員に対する本件事故発生の日の翌日である昭和六〇年七月二一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるのでこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官清野寛甫 裁判官田村洋三 裁判官飯島健太郎)

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